世界では苦戦しているのに、日本のスターバックスだけなぜ好調なのでしょうか。筆者は一消費者として世界中のスターバックスを利用しており、その違いは、ミッションに対してどこまで忠実なのかに尽きると考えています。
流通小売り・サービス業のコンサルティングを約30年続けてきているムガマエ代表の岩崎剛幸が、マーケティングの視点から分析していきます。
この2月、米国のスターバックスが1100人の人員削減を発表したというニュースがありました。対象者は本社や管理部門を中心とするサポートパートナー職。また、数百件の採用を予定していたポジションも採用停止にするといいます。さらに、北米リーダーシップチームの体制を見直すだけでなく、ヴァイスプレジデントレベル以上の役職者に対して、週3日の出社義務を課すといった組織運営形態の見直しも始めています。
同じく米国のスターバックスでは、3月4日から「フラペチーノ」の一部や「ロイヤルイングリッシュブレックファストラテ」など、売れ行きが悪いものや作るのが難しいドリンクをメニューから外し、簡素化を図ると発表しました。
メニューの削減により、顧客の待ち時間を減らして短時間で商品を提供することを目指しているそうです。米国ではこのように、人と商品のリストラでなんとか業績回復しようと必死です。
なぜこのような状況に陥っているのでしょうか。まずはスターバックス全社の業績を見てみます。
全世界におけるスターバックス売り上げは、2024年9月期で日本円換算(1ドル=150円)すると5兆4264億円。前年度比で100.6%です。前年水準をギリギリでクリアしたことが分かります。原価は減少したものの販管費は伸びており、結果的に営業利益は前年度比で8%弱の減少、純利益も8.8%減です。
スターバックスは営業利益率が15%程度ある優良企業ですので「落ちている」といっても高い収益体質を維持しています。しかし、これまでの傾向とは明らかに異なる経営実態になり始めています。
不調の大きな原因は、売り上げの7割以上を占める北米エリアの伸び悩みです。ここに中国の消費減退による不振が加わり、全社レベルの低迷となりました。
一方、日本国内は絶好調です。
直近の売上高は、2023年比で111.1%、2019年比で159.9%です。営業利益も2023年比で115.4%、純利益は122.5%と2ケタの増収増益です。店舗数と売上高を比較すると、実態がより明確になります。
スターバックスの国内店舗数は2023年比で105.4%ですが、売上高は111.1%の成長です。店舗数と比べて売り上げの伸びが高く、1店舗当たりの売り上げが伸びていることを意味します。さらに、1店舗当たりの売上高は1億6200万円。2023年比で105.4%です。
スターバックスは日本のあちこちにできているので、店舗数を増やして売り上げを伸ばしている印象がありますが、実は店舗数以上に1店舗当たりの売り上げを伸ばし、成長しているのです。このような店舗の生産性が、国内の好調を支えています。
では、世界に広がる店舗網のうち、日本のスターバックスはどの程度の規模なのでしょうか。数字でいうと、全世界にある店舗のうち、国内店舗が4.9%を占めます。
これを売り上げと店舗数構成比で見ると、さらに実態が分かります。
日本のスターバックスは店舗数構成比では4.9%ですが、売上構成比では5.9%となっています。売り上げ貢献度は高いのですが、家賃などが高いためか、利益貢献度が低いのは課題といえるでしょう。
いずれにせよ、日本のスターバックスは店舗売り上げが高くなる工夫をしているということです。それはどのような取り組みなのでしょうか。
筆者は、国内のスターバックスが好調の理由は次の3つにあると考えています。
ポイント1 日本独自の新商品開発力
ポイント2 立地、客層に合わせた店舗開発力
ポイント3 デジタル対応強化によるCX戦略
※全文は出典先で
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2503/31/news012.html
2025年03月31日 05時00分 公開
[岩崎剛幸,ITmedia]
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Source: 投資ちゃんねる – 株・FX・仮想通貨・投資2chまとめ